過活動膀胱の治療薬
自分の意志とは関係なく膀胱が勝手に収縮してしまう過活動膀胱、特に働き盛りの男性にとっては通勤途中や仕事中すぐにトイレに行けない時に、突然我慢できないほどの尿意が出てくると非常に辛いですよね。
過活動膀胱の治療には一般的にお薬が使われます。
どんな治療薬があるか、一覧でまとめました。
過活動膀胱の治療に主に用いられている抗コリン薬
私達がトイレでおしっこする時、膀胱と尿道を自律神経でコントロールしながら行われています。
膀胱に尿がある程度溜まると尿意として脳に伝え、トイレに行っていよいよ排尿できる状態になって、副交感神経から出されるアセチルコリンという物質が放出され、膀胱に受け皿となるムスカリン受容体がこれをキャッチし、膀胱を収縮させ排尿します。
しかし、過活動膀胱は病気や自律神経の乱れによってコントロールがうまく行かなくなってしまいます。
そこで、膀胱が勝手に収縮してしまうのを抑えるためにムスカリン受容体をブロックする働きをするのがこの抗コリン薬となります。
アステラス製薬から出されているベシケア錠(ソリフェナシン錠)
鳥居薬品のウブレチド錠(ジスチグミン)
杏林製薬のウリトス錠(イミダフェナシン)
などが用いられます。
いずれも膀胱の収縮を抑え、おしっこの出を良くする働きがあり、1週間〜1ヶ月で効果が出ると言われています。
しかし、口の渇きや便秘といった副作用があります。
こうした副作用を抑えた新薬がファイザー製薬より
トビエース(フェソテロジン)
が2012年に発売されました。
また前立腺肥大症などの患者さんだとおしっこの出が悪化してしまい、尿閉といって全くおしっこが出なくなるため、前立腺や尿道の筋肉を緩ませておしっこの通りを良くする「α1アドレナリン受容体阻害薬」と呼ばれる薬が用いられます。
主にキッセイ薬品の
ユリーフ錠(シロドシン)
などが処方されます。
新薬β刺激薬について
2011年9月に前述の抗コリン薬より副作用の少ない治療薬がアステラス製薬より発売されました。
ミラべクロンという成分で
ベタニス
と呼ばれる「β3アドレナリン受容体作動薬」といい、膀胱に存在するβ3アドレナリン受容体に働きかけ、おしっこを溜めるように働く薬となります。
β3アドレナリン受容体とは、交感神経によっておしっこを溜めるよう膀胱を広げる働きがあります。
おしっこする時に膀胱を収縮させるといった全く逆の働きを行います。
膀胱に重点的に効果が出るようになっていますが、ラットを使った実験では精巣や子宮の重量低下や萎縮がみとめられ、若い世代への処方は出来る限り避けるよう注意喚起されています。
その他漢方薬も過活動膀胱の治療に使われます
主にツムラやクラシエから
八味地黄丸料(はちみおうじかん)
猪苓湯(ちょれいとう)
六味地黄丸(ろくみじおうがん
六味丸エキス顆粒
などの名前で販売されている)といった漢方薬が過活動膀胱に効果的と言われています。
抗コリン薬やβ刺激薬と違い、手足の冷えを改善させる働きや、利尿・鎮静作用を持っている成分が含まれています。
漢方薬では膀胱や尿道周囲の機能や自律神経の改善、泌尿器全体の老化予防をするといった身体に総合的なアプローチを行っていくのが特徴的です。
但し、胃腸の弱い方や吐き気や食欲不振、下痢などを起こしやすい方は注意が必要となります。
過活動膀胱の治療薬まとめ
近年ではこれまで販売されている薬の副作用などの反省点を活かし、新たに過活動膀胱に対応できるための新薬開発が行われています。
これらの薬は膀胱が勝手に収縮してしまうといったことを抑える薬になりますので、お薬を飲み忘れてしまうと再び過活動膀胱の症状が出てしまいます。
医師からの用法・用量を守り飲み続けることが大事です。
また、喉の渇きがひどくなったり、便秘がひどくなった場合は医師に相談しましょう。
その他、漢方薬を処方される場合もありますが、ストレスや疲労、不規則な生活習慣などによって自律神経が乱れ、過活動膀胱を引き起こすこともあります。
お酒やカフェインが含まれる飲み物や香辛料といった刺激物をさけ、なるべくストレスを溜めず規則正しい生活を送ることも必要です。
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