過活動膀胱が起こるメカニズム
過活動膀胱炎とは正しくは過活動膀胱と言い、膀胱が過剰に活動することです。
自分の意思や膀胱の中の尿量に関係なく勝手に収縮して、尿がでやすくなります。
急に尿が我慢できない尿意切迫感
尿が漏れてしまう切迫性尿失禁
トイレが近い昼間頻尿
夜間頻尿
などの症状があらわれます。
これらのトラブルをおこす蓄尿と排尿は、自律神経に支配されています。
膀胱を緩めてたくさんの尿をためて、尿が漏れないように尿道を閉める膀胱の弛緩、収縮をおこなっているのが、尿道括約筋です。
交感神経から放出されるノルアドレナリンにより膀胱排尿筋が弛緩して、尿道括約筋が収縮します。
また副交感神経から放出されるアセチルコリンにより膀胱排尿筋が収縮して、尿意括約筋が弛緩します。
過活動膀胱の治療に使われる抗コリン剤
過活動膀胱は何らかの原因で膀胱に異常な収縮がおこり、強い尿意、頻尿、漏れがおこる病気です。
そのための治療薬として処方されるのが
抗コリン剤
です。
排尿と深くかかわるアセチルコリンの働きを阻害して、膀胱の収縮を抑える薬です。
体内でアセチルコリンは神経と神経の橋渡しをしているムスカリン受容体に結合することで、副交感神経を刺激する作用があります。
抗コリン剤はムスカリン性アセチルコリン受容体を遮断して、副交感神経の作用をブロックため改善効果があらわれてきます。
今現在、過活動膀胱では、一番多く処方される薬です。
ただムスカリン受容体は膀胱だけでなく唾液腺、消化管にもあるため、唾液が出にくくなり口が渇いたり便秘などにもなりやすいことがあります。
最近は、これらの副作用の少ない薬が開発されています。
前立腺肥大症がある場合、抗コリン剤を使うのは注意が必要
しかし男性の前立腺肥大症には過活動膀胱をともなう場合が多く見られます。
これは膀胱の下にある前立腺が肥大して尿道を圧迫しておこる症状です。
男性の前立腺肥大症は、50代で30%、60代で60%、70代で80%、80代で90%の方にみられる症状です。
抗コリン剤は前立腺を肥大させることはありませんが、さらに尿道を細く収縮して尿の出が悪く過活動膀胱を悪化させてしまいます。
ですので、前立腺肥大症にはaTA受容体やTD受容体があり、この2つの受容体を遮断する薬を処方します。
aTA受容体を遮断すると、前立腺や膀胱の平滑筋の緊張を緩和して膀胱炎を改善していきます。
また平滑筋の弛緩にかかわる物質が分解されることを防ぐことで、尿道を緩めて血流改善し膀胱炎を改善していきます。
また前立腺肥大症にはテストステロン(男性ホルモン)が関与しているため、テストステロンを遮断することで前立腺を小さくして改善していきます。